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日本の銀行のアジア進出 [銀行業務]

木曜日(12/13)の日経新聞に、三菱UFJ銀行のベトナムの銀行への出資http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC12012_S2A211C1MM8000/
とみずほコーポレート銀行のラオスの銀行との提携http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM12074_T11C12A2MM0000/
がそれぞれ、朝刊と夕刊に載っていました。しかし、あくまで、記事を見る限りということですが、両者は、目的が微妙に違いそうです。みずほコーポレート銀行は、日系企業のラオス進出の支援ということのようですし、一方の三菱UFJは、日系企業の支援だけではなく、現地の金融全体をビジネスとして取り入れるのも目的が。みずほが「提携」で、三菱UFJが「出資」や「役員派遣」となっているので、おそらく、そうなのでしょう。

いずれにせよ、他にもそういった動きはあり、総論としては大変いいことだと思います。是非頑張ってもらいたい。ただ、気になることはあります。邦銀は従来、海外については、進出と撤退(規模縮小)を繰り返して来ました。現地の人の気持ちになってみればわかります。わざわざ外銀と取引するのは、地元行に比べてサービスがいい(提案内容がいい)か、条件がいいか、はたまた、地元行に貸してもらえないからです。正直、日本の銀行の実力が特に欧米銀より、優っているケースが、そんなに多いとは思えません。とすると、金利が安いとか、地元行や欧米銀が貸してくれないからといったケースが多くなると思います。日本ですら、外銀の貸出先は消費者金融や中小のノンバンク、中小の不動産業者といったところが多くを占めていたと言われています。増してや海外における邦銀はをや、です。リスク管理は大丈夫でしょうか?アジアの成長にうまく乗れば、事なきを得るかもしれません。ただ、グローバルに景気が不透明な中、アジアも何が起こるかわかりません。一時的には何かあるかもしれないが、中長期的には成長するので大丈夫という声もあるかもしれません。しかし、我慢できるかどうか?いろいろな意味で視野が短期的になっている現在、また、BaselⅢも決して楽ではない中、体力の問題もあります。いずれにせよ、「ババをつかまされて終わった」といういつか来た道とならないよう祈るのみです。

なお、この点、欧米銀はしたたかです。一般的には、金融危機の傷がまだ癒えない中、規制強化への対応もあって、資産を圧縮している欧米銀(特に欧州銀)であり、それもあって、邦銀はそのチャンスを生かして、アジア向けの貸出を伸ばしているといった論調かと思います。しかし、米銀が1980年代後半から90年代初頭にかけて、ラテンアメリカ向けの不良債権に苦しんだ経験から、資産回転型ビジネスに転じて行き、それに大手の欧州の銀行はも追随して行った経緯はよく知られています。つまり、彼らは、資産を抱えないで稼ぐ術を身につけているのです。いや、資産を抱える以上、上述のようなリスクは必ず抱えるわけで、ノウハウが乏しい分野ほど、こういった手法を使って、リスク分散を図る必要があります。確かに資産回転型ビジネスモデルは、行き過ぎると、サブプライム・ショックのようなことを起こしてしまいました。しかし、資産回転型型ビジネスモデル自体が悪いわけではありません。上述の様に、満期保有型ビジネスモデルへの反省から生まれたものです。ですので、程度をわきまえてやる分には、有効活用できるものです。プロジェクトファイナンスのシンジケーションなどはその典型でしょう。確かに、欧米銀は、アセットの保有に制約がある以上、アレンジャーのマンデートを取るのには不利です。しかし、それを補える実績と実力が彼らにはあります。ですから、邦銀が欧米銀にアセットを押し付けられて、おいしいところは彼らに持って行かれているということもあるのです。従って、単に邦銀の貸出が伸びているからといって喜んでいいとは限りません。

邦銀は、単なるシンジケーションの参加案件は、ノウハウを積んだり、プレゼンスを確保するためと割り切り、その目的のみに限定的に対応し、当面は、欧米銀に実力で劣るかもしれませんが、アセットのテイク力を生かして、アレンジャーの実績を積み、行く行くは、欧米銀に実力で伍して行けるようになる。そういった戦略でやれるのか?あるいは、スプレッドの厚い資産が積めただけでも喜ぶのか?

もし、邦銀が後者であれば、この先暗いと言わざるを得ませんが、そうではないことを祈ります。
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